NISAとは ~メリット・デメリット比較の前に~

不動産屋で働いていた頃の体験をもとに作成している当サイトですが、NISAがREIT[不動産投資信託]もOKというので取り上げてみました。NISAのメリット・デメリットの比較を主テーマとしていますが、そもそもNISAとは何なのかという点から書いていこうと思います。

NISAは少額投資非課税制度のことで、税率が約20%から0%になるものです。少額とある通り、1年間のNISA口座の投資限度額が100万[2016年以降は120万]、非課税の期間は5年間となります。期間は5年と書きましたが、さらに5年間繰り越すロールオーバーが可能です。いずれ、イギリスのISAのように、この期間も撤廃されることでしょう(日本版ISAだからNISAです)。

NISA口座は1人1口座で、4年間は他の金融機関に移せない縛りがあります。また、NISAを使えるのは20歳以上の日本に住んでいる人となり、口座の開設は2014年から2023年までとなります。未成年の方向けのジュニアNISAもあります。

対象は株式や投信[株式投資信託]になり、国債や社債は対象外となっています。あまり詳しくない方向けに説明しますと、株式は自分で銘柄を選ぶもので、投信はプロが株式や債券を選んでくれるものになります。後者はプロの手が加わる分、買付手数料と信託報酬がかかります。

NISA導入の背景 ~メリット・デメリットの裏側~

学校の授業で「倹約令」という言葉を耳にしたことがあるかと思います。それは消費を謳歌する人が多く、なかなか貯蓄にまわさなかった証でもあります。貯金という思想が一般に普及していなかったのは、何百年も昔というわけではありません。昭和の時代まで生きた渋沢栄一が著書の中で「日本はその家族制度のせいで、家族・親族に依存するクセがあって、貯蓄心が乏しい」なんて書いているくらいです。

日本資本主義の父である彼が、貯蓄心のなさを嘆いたのには訳があります。国家発展に欠かせないお金の流れとして、「国民の貯蓄→銀行の融資→企業の設備投資」があるからです。大きな資本なくして資本主義は成り立ちません。何かを成すために資金を調達しようにも、貸し出してくれる存在がなくては始まりません。

昔から金貸し業はあったでしょうが、個人の金貸しでは自分が所持している分しか貸せません。より多くを融資するために、他人が預けた資金を貸し出すことができる銀行という存在が必要になるわけですが、預金する人が少なくては意味がありません。

どうしたら、多くの人が預金をするのか。答えは簡単です。預金をすることにメリットがあればいいのです。だから利息がつくというメリットがあるのですが、税金が取られるというデメリットが付くと効果も下がります。そこで、マル優こと少額貯蓄非課税制度に繋がるわけです。

350万円までなら利息に税金はかけない制度を実施したことで、国民のお金が銀行に集まるようになり、それが企業への融資にまわって高度経済成長へと繋がる要因の一つとなったのです。マル優は少額貯蓄非課税制度、NISAは少額投資非課税制度。制度名が非常に似ていると思いませんか? 日本人に貯蓄文化を根付かせた前者に対し、後者は何を根付かせようとしているのか。そう考えれば、NISA導入の理由も見えてくるかと思います。

日本人に投資を根付かせたい。それはなぜか? 端的に言ってしまえば、外資による買収を防ぎたいのです。バブル崩壊と共に株式の持ち合いが少なくなり、そこに介入したのが外資でした。国の基幹産業まで買収されてしまっては、乗っ取られているようなものです。だから、長く株式を保有してくれる個人株主を増やす制度が必要になりました。

その理由を鑑みれば、税率が約20%から0%になるメリットがある理由も明白です。逆に、デイトレードのように売って買ってを繰り返されては、当初の目的である長く保有するという目的を果たせないので、1年間のNISA口座の投資限度額が100万[120万に変更]な上に1人1口座、4年間は他の金融機関に移せない、損益通算できないというデメリットがあるのです。日本に住んでいる人に限っているのも、外資に買ってほしくないからとなります。勿論、限度額を高く設定することで、金持ち優遇の政策だという批判を避けたい思惑もあるでしょう。

NISA口座を開設する ~メリット・デメリット比較~

NISAの取引をするには銀行や証券会社で専用口座を開く必要がありますが、購入できる金融商品は金融機関によって異なります。株式を買いたい場合は証券会社に開く必要があります。取り引きを窓口で行われる方もいれば、ネットで行われる方もいるかと思いますが、後者の場合は「株式数比例配分方式(配当を証券会社で受け取る)」にしないと非課税にならないので注意が必要です。

手数料優遇や現金プレゼントといったキャンペーンがよく展開されていますので、メリット・デメリット比較表を作っても、すぐに古くなってしまうのがサイト製作者としての泣き所です。そういうこともあり、無責任なようですが比較表をやめてリンクだけ用意しました。下記は「価格.com」のキャンペーン比較ページになります。

NISAキャンペーンの比較を確認

口座の開設は、申込書類を手に入れるところから始まります。次に、住民票の写しなどの必要書類を添えて申込書類を提出します。そうすると、金融機関から税務署へNISA口座開設申請書が提出され、口座の開設が完了するという流れになります。税務署での審査や手続きは4週間ほどかかると思っていた方がいいです。なお、住民票の写しで基準日(2013年1月1日)の住所を証明する必要がありますが、引っ越している場合は「住民票の除票の写し」が必要となります。

NISAにおける株式の買い時

NISAだからといって株式の買い時は変わりません。安く買って高く売れば儲かります。「買った直後に下がったらショックだ」と思って、いつまでも踏み切れないというのでしたら、ドルコスト平均法を取ればいいでしょう。1年を通して、いつ買えばいいのか迷っているのでしたら、4月&10月の金曜の午後にしましょう。

理由は単純なものになります。投資家は銘柄を保有したまま翌週に持ち越したくないので、金曜日に売る傾向が見られます。また、日本の会社は3月決算が多いので、株主優待の権利が確定する3月の翌月である4月に下がる傾向が見られます。10月は4月から下がり始めた銘柄が下げ止まる月、という印象があります。海外で夏のバカンスが明けて市場が動き始めるのも理由のひとつです。ただし、株式総会が開かれる前の3ヶ月間は避けましょう。株主総会を受けて株価を上下するからです。

買う為の判断材料をお求めでしたら、「Yahoo!ファイナンス」や証券会社が提供している情報、会社四季報や日経会社情報が役立つというか、誰もが利用しているように思います。ただ、新聞やテレビのニュースで流れた時には、買い時は去っていますからね。多くの人が「買いだ」という情報を見たら買い注文が増えるでしょうから、持っている人にとっては高値で売る絶好の機会です。むしろ、株を持っている人が高値で売るために情報をリークしている可能性だって無きにしも非ず。

てか、決算をチェックするのがベストなんですけどね。わかるのなら……。単純に「前期比で売上が伸びているか」「利益率は良いか」を見るだけでも、だいぶ違うはず。「株探」なら、期間ごとの比較がしやすいので、ちっとも面倒じゃない。

それすら面倒な人は、ずっと上がってる米株のETFでも買えばいいでしょう。おそらく、それがスタンダードな戦略のハズ。長期投資ならね。全世界ETFでもいいですよ。

初心者向けの株の選び方

1.自分の身の回りで流行りそうなものを見つける。2.人よりも流行に早く気づく。3.会社の業績を調べる。4.証券会社に相談する(販売ノルマを押し付けられない自信があるなら)。最後に、株をやったことがない人の意見を聴かないになります。

株主優待目的で購入されるのでしたら、株主優待だけで生活している桐谷広人さんの「おすすめの株主優待銘柄」辺りを見てみるのも一興。ほかには、YouTubeで儲かってる人を探す……。投資自体を学びたいのなら、「広瀬隆雄」で検索して推奨銘柄を買うのもいいでしょう。

チャートで判断するのも手です。平たく言えば、ある一定の期間での値動きを見て、上昇傾向にあるのか下降傾向にあるのかを判断します。株価は上向きでも下向きでも上下を繰り返しますので、その平均を取った線から少し先を予想するわけです。詳しいことは「株の学校123」の動画でもご覧ください。こういうのが好きな人は……。私は、やらないですけど。

株にまつわる名言&格言

干支にちなんで、「辰巳(たつみ)天井、午(うま)尻下がり、未(ひつじ)辛抱、申酉(さるとり)騒ぐ。戌(いぬ)笑う、亥(い)固まる、子(ね)は繁栄、丑(うし)つまずく、寅(とら)千里を走り、卯(う)跳ねる」という言葉があります。バブル絶頂期、ITバブルなどの時期と照らし合わせてみると面白いかも。

逆張りを示唆する「人の行く裏に道あり花の山」、底値と思っても下がる余地ありと思え「もうはまだなり、まだはもうなり」、落ちている株に手を出さずに落ち切ってから買え「落ちてくるナイフは掴むな」、好きな時に買えばいい「投資の世界には見送り三振が無い」……。

「5~9月は株から離れろ」「卵は1つのカゴに盛るな」「頭と尻尾はくれてやれ」「カップウィズハンドル(チャート)」などもあります。

NISAに関連する検索キーワード

「NISA」で検索した場合に、関連する検索キーワードとして表示されるのは、nisa デメリット、nisa おすすめ、nisa 比較、nisa みずほ、nisa 口座 比較、nisa マネックス、nisa 手数料、nisa キャンペーン、nisa sbi、投資信託、でした。

どれも一緒に検索される理由が想像しやすいものばかりですね。みずほ、マネックス、SBIは口座として検討される人が多いのでしょう。SBIは投信の種類が豊富ですから、そこがウケているのでしょうか。みずほ証券に関しては、週刊マネーランドという面白いラジオ番組をやっていることも大きいでしょう。「株式投資とれーにんぐ」という株売買を1,000万の仮想資金で体験できるゲームもありました。

REIT[不動産投資信託]について

最初に書いたREIT[不動産投資信託]は、Real Estate Investment Trust の略になります。投資家から資金を集めて「不動産」を購入し、そこから生じる賃料や売却益を投資家に分配する商品で、国内株式と同じように証券コードが割り当てられています。

REITの魅力は利回りが比較的高めな点です。高めにできる理由のひとつは、REITは「不動産投資を目的とする特別に認められた法人」なので、一定の条件下で税金が免除される為です。その条件が“当期利益の90%超を投資家に分配する”というものになります。なので、利回りが高めになるのです。

株に関する雑多な備忘録

「FOMC(連邦公開市場委員会)」があると動く。年8回、約6週間ごとにワシントンの理事会議室で開催され、いつ行われるかは決まっている。日銀の金融政策決定会合みたいなもの。

「アセットアロケーション」とは、投資資金を複数の異なった資産に配分して運用すること。1つに集中すると、それがコケるとパーになるために分散しようという話。銀行預金(5%)、先進国株式(30%)、新興国株式(30%)、先進国債券(10%)、新興国債券(10%)、純金(10%)、不動産などその他資産(5%)みたいに。

「NISA」ではない場合、取り引きする口座には一般口座と特定口座があります。年間の利益が20万円を超えたら確定申告が必要なのが一般&特定(源泉徴収無し)で、源泉徴収されているから確定申告の必要がないのが特定(源泉徴収有り)です。20万を超えそうにないなら特定(源泉徴収無し)でいいでしょう。一般は繰越控除的にナシです。

株式市場の都市伝説「アノマリー」。12月の株価は安く、逆に1月の株価は高い、月曜日の株価は高い、2日から取引が始まる月は相場が荒れる、前年末の反動で値上がりした株価も節分(2月3日)の頃には天井を打ち、彼岸(3月20日)の頃に底値になる(節分天井、彼岸底)、日本株は4月に上昇しやすい(4月効果、新年度相場)、米国株は、5月から9月までの期間は市場がもたつくこと多い(Sell in May)、米国株は10月に安値を付けやすく、10月に買うと儲けやすい(10月効果)、米国株は中間選挙の年を安値に、大統領選挙の年に向かって上昇する(大統領サイクル)。

時価総額の小さい銘柄は、市場平均よりも高い収益率をもたらすことが多い(小型株効果)、PERの低い銘柄は、市場平均よりも高い収益率をもたらすことが多い(低PER効果)、配当利回りの高い銘柄は、市場平均よりも高い収益率をもたらすことが多い(配当利回り効果)、企業の不祥事が発生した時に株価は理論水準を大幅に下回り、それから理論値に少しずつ回帰していくことが多い。金曜日にジブリが公開されると週明けの株価は大荒れ。「サザエさん効果」「ドリカム人気効果」

参考文献

下記は『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』を書かれた公認会計士の山田真哉さんの著作になります。投資の失敗体験談がメインとなっています。

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